よもやま
リメイク教室では、いろんなお話をしながら作業は進みます。
「えっ!今ここで、切るんですか?」と、
私の指示にちょっと戸惑い気味の初参加のOさん。
そうすると、周りにいたみんなが、
「そりゃそうよね・・・・、着物にハサミを入れるのは勇気がいるわよ!」と声を掛けてくださいます。
自分ひとりでは、なかなか進まない作業もここにくれば、志同じ皆ではかどるのです。
”人がするんじゃない、自分でする・・・その一歩を踏み出す”ということ。
教室ならではの、よくある一こまです。
さらによくあるのが、
「家に母が残してくれた着物が沢山あるけれども、もう着ない。それを捨てたり売ったり簡単に手放すのではなくて、自分でどうにかしたい・・・。」との声。
これは、私のようなアラフォー世代より、もう一つ上の世代の方々の思いです。
「普段着に身につけていた家族の姿が目に浮かび、また、晴れ着などは準備してくれた家族の思いがつまっているから。」と。
「そのまま着物としてきることはないので、自分で解いて洋服にする。」と。
「これ(着物)を残しておいても、もう誰も解いてリメイクなんてしてくれないでしょう・・・。」とも。
そうなのですよね・・・。
これが現実だと思います。
もう私の世代だったら、まったく着物を持たないか、正装の着物だけを持っているという感じ。
着物もたためない私のような洋服しか着たことがない人がほとんどなのです。
私は、これらのお話を聞いていて、いつも同じ疑問がわいてきます。
「どうして着物を着ないのだろう?着物じゃ、不便なのかしら?」
すると皆さん「慣れたら快適よ。」と、普通に答えてくださいます。
「じゃあ、着物を着ればいいですよね・・・。継いだ着物を着ればいい。」
でも、現実は”着ない”のです。
「どうして?」
このことは、何も着物に限ったことでなく、今の日本の縮図だと思います。
忘れ去られようとしている日本独自の文化、風習・・・。
長く伝え受け継がれてきたにも関わらず、ここ何十年かの近年で、すっかり取って代ってしまってなくなろうとしているいろんなこと。
そこには自然のサイクルの中での無理のないモノ作りだったり、
日本の風土に合ったすばらしい機能が備わっていることなど、
改めて今、世の中に問題定義されていることをクリアできるヒントが沢山詰まっていると、思い知らされます。
だから私は、せめてその文化に触れることが大事だと思います。
古くなった着物に触れ、肌でその素材感や風合いを感じて、身に染ませるということが大切だと思うのです。
その肌で感じた記憶がない者が、その良さを思い起こし理解することなど出来ないからです。
手前味噌ですが、「大工くりき」の嫁として・・・
家も、同じことが言えます。
例えば、私の記憶にかすかに残る、昔の家や木造校舎の窓枠の乾いた木目、肌触り。
でも今あるのは、製品としての建材という名の工業製品ばかり。
小学校でも、広島県産の無垢の木で作ったといいながら、間伐材を張り合わせた集成材に厚めの樹脂塗料でコーティングした机が並んでいます。
これでは子どもたちに残るのは、木の肌触りの記憶ではなく樹脂の肌触りの記憶が残るでしょう。
本当に大人が伝えたいのは、身近な木の良さのはずなのに、これでは本末転倒だと思うのは私だけでしょうか。
「大工くりき」がこだわっている”木の家作り”
それは、日本の伝統の家作りであり、無理のない環境づくりです。
一部の人のこだわりや寺社仏閣として残るのではなく、
一般の人が住む家にも、日本の文化が継がれていかなければいけないと思います。
人の肌に残る記憶、それこそ大事な次世代への継承ではないでしょうか。
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コメント
着物を着ない理由
私が実際に30年近く洋服で暮らしてきて、さて着物を着ようという時には「着物」の使い方も生活の仕方もわからなくて、ライフスタイルも現代には合わないものだなと思いました。着る人がいた時代ならともかく、現代社会では着る工夫や生活の知恵を教えたり、触れる機会がない。「一手間をかける」という豊かさがない。それが着物が「生活着」たれない理由でしょう。
それでも何かの形で残っていれば、価値観の変わった時には掘り起こされる文化かもしれない。
そう思いながら暮らしています^^
投稿: ちか | 2012年2月10日 (金) 12時47分
ちかさま
ちかさんのように、今毎日着物を着ておられる方は、本当に着物の優れた点をよく知っていらっしゃると思います。
そして最近思うのが、もし私が普段着る物を選ぶとき、洋服と同列に着物もあったなら、なんて素敵なんだろう・・・ということ。
日本に生まれて着物を着ないで終わりたくない、と思い始めました。
今年は春くらいからちょっと時間も出来そうなので、着物に挑戦してみようと思っています。
なにより、うちの大工の作る家には着物が合いそうなんですもの。
木で作る家は文字通り、茶系の色。
それは、自然と背景になるような色で・・・。
そこに、人が色とりどりの着物を着て、華やかに場が演出されるな、と思っています。
おっしゃる通り、出来ればあまり変化させるべきではないと思うのだけれど、どうにか何かの形で残ってさえいれば、また次へと繋がって行くのでしょう。
また、いろいろ教えてくださいね☆
投稿: くりき妻 | 2012年2月10日 (金) 17時01分
洋服にも拘りをもってらっしゃるくりき妻さんでしたら、着物も素敵に着て下さると思ってます(*^^*)
私も、逆に日本の家屋の便利さというか、道理にあった住まい方をいつかは実現したいと思っていて(といって当面は難しそうですが(^^;出来ることからっ.笑) くりきさんのブログで色々勉強させていただいてます。
木の家に合う着物も素敵ですね。また現代に合う着物も提案していけたらなって思ってます。
投稿: ちか | 2012年2月14日 (火) 14時59分